相続開始後の手続の流れ
ご家族が亡くなってしまった場合、相続登記だけではなく、必要な手続きがいくつもあり、把握するだけでも大変ですよね。そこで、今回は、相続開始後の手続の概要を紹介します。詳細については、順次他の回で紹介していきます。
1 相続開始
(1)死亡
相続の開始は、死亡で生じます。なお、死亡には、三徴候説などにより死亡と判断された場合以外にも失踪宣告や認定死亡制度により法的に死亡とみなされる場合もあります。
(2)死亡届
亡くなった方の親族などは、死亡の事実を知った日から7日以内に、亡くなった場所・亡くなった方の本籍地・届け出る人の所在地のいずれか一か所の役所に死亡届を提出しなければなりません。その際、死亡診断書又は死体検案書を添付します。
2 相続人の確定
遺産分割協議は相続人全員でしなければなりません。また、相続放棄や限定承認は、法定の期間内(自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内)にしなければならず、期間を経過すると相続を単純承認したものとして扱われます。そのため、相続手続きを行うにあたっては、相続人となる方(や自分が相続人となるのか否か)を把握しておくことが大切です。
詳しくは、相続人になれる人とは? – 久留米市城島町の司法書士・行政書士事務所「すずき事務所」 (suzukilegal.com)をご覧ください。
相続人を把握するには、亡くなった方(など)の出生から亡くなるまでの戸籍謄本を遡る必要があります。
3 相続財産の確定
相続人を確定すること同様に、亡くなった方の相続財産を把握することも、相続手続きを行うには重要となります。
特に、相続放棄(3か月以内)、準確定申告(4か月以内)、相続税の申告(10か月以内)など相続に関する手続きには一定の期間内にしなければならない手続きもあるため、相続手続きをスムーズに行うためにも、早めに確定(把握)しておきましょう。
4 相続放棄など
(1)単純承認
単純承認とは、亡くなった方の権利義務を無限に承継することです。
単純承認の意思表示をした場合はもちろんのこと、法定の事由に該当する行為をした場合も単純承認をしたとみなされるため、注意が必要です。
(2)相続放棄
相続放棄については、こちらをご覧ください。(相続放棄が必要になるケースとは? – 久留米市城島町の司法書士・行政書士事務所「すずき事務所」 (suzukilegal.com)
(3)限定承認
限定承認とは、相続によって取得した財産の限度においてのみ亡くなった方の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続を承認することです。相続財産にプラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いのか不明な場合には、この方法を取ることも視野に入れる必要があります。
5 準確定申告・納付
亡くなった年の1月1日から死亡した日までに確定した所得金額と税額を計算し、相続の開始のあったことを知った日の翌日から4か月以内に、税務署に申告と納税をしなければなりません。この手続きは、原則として各相続人の連署により行います。
6 遺言書の有無の確認
遺言書は、亡くなった方の最後の意思表示として尊重されるため、遺言書がある場合は遺産分割をせずに相続財産を承継できます。そこで、遺言書の有無を確認することが必要となります。
遺言書がある場合は、これを保管していたり発見した相続人は、直ちに家庭裁判所で検認の手続が必要です。検認前に開封してしまうと、5万円以下の過料に処せられます(なお、検認は、あくまで遺言書が法定の形式を満たすか否かを判断するものであり、有効無効を判断するものではありません。)
手元に遺言書がない場合でも、自筆証書遺言が法務局で保管されている場合は法務局で申し出ることにより保管の有無を検索できます。また、公正証書遺言がされている場合は、公証人役場で検索可能です。これらの場合には、検認手続きが不要となります。
7 遺産分割
遺言書がない場合や、遺言書はあるが包括的に定められている場合には、誰がどの財産を相続するかを具体的に協議します。これを遺産分割協議といいます。
協議でまとまらない場合や協議そのものができない場合には、家庭裁判所での調停手続きを申し立てることができます。また、調停も不調に終わった場合は、審判手続きに移行することになります。
8 相続税申告・納税
相続があったことを知った日の翌月から10か月以内に、亡くなった方の住所地を管轄する税務署長に相続税の申告をしなければなりません。
遺産に係る基礎控除額によっては、相続税の申告・納付が不要となる場合がありますので、税務署や税理士に確認しておきましょう。
9 不動産登記など財産承継手続き
遺言書があればその内容に沿って、なければ遺産分割協議等の内容に従い、各種財産の承継手続き(金融機関の預貯金や有価証券等の承継手続きや不動産に関する名義変更登記など)を行います。
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